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今からちょうど100年前、海外旅行が大変珍しかった大正時代、半泥子と長男壮太郎は、約5ヶ月をかけて北半球を一周する船旅に出かけました。その旅での見聞は、その後の2人の人生に大きな影響を与えました。本展では、半泥子の紀行文やスケッチ帖、欧米で購入したマティスやボナールの絵画や土産ものなどから、1世紀前に日本人が見た欧米を、半泥子の眼を通して紹介します。
大河ドラマなどで今なお語り継がれる徳川家康をはじめ、人物の事績はやがて歴史として記録され、それに触れた人びとは多様な伝説を生み出していきました。本展では、当館で新たに発見され、現在、三重大学の学生さんと一緒に調査を進めている浮世絵貼交帖を手がかりに、江戸時代に英雄として描かれた人物たちの伝説、さらに歴史資料からその実像に迫ります。
半泥子は数ある趣味の中でも、陶芸と俳句で多くの作品をのこしています。陶芸は誰にも師事しなかった一方、俳句は桑名の梶島一藻から厳しく指導を受け、数多の句を詠みました。作陶と俳句には、「全く無心のうちに造ったものでないと自然のヨサが現れない」という共通点があると、半泥子は記しています。本展では、無心の境地から生まれた半泥子芸術の世界をご堪能いただきます。
奥田竹石(1901~77)は、津を中心に活動した南画家です。京都の田近竹邨に師事し、のち地元の津へ戻り数々の作品をのこし、後進の指導にも尽力しました。また竹石は、半泥子の南画の師でもあり、半泥子が祖母の供養のために建立した紅梅閣の障壁画を描きました。本展では、近年寄贈を受けた竹石の作品に加え、中村左洲や川口呉川など、三重県ゆかりの近代画家の作品を紹介します。
結城神社は、南北朝時代の武将である結城宗広を祀る神社で、文政7年(1824)、津藩によって津市藤方の地に創建されました。近代に結城氏一族から奉献を受けた社宝の中には、後醍醐天皇綸旨など、日本史上極めて重要な歴史資料が含まれています。本展では、創建200年を記念し、これらの史料を展観するとともに、初公開となる刀剣など、津が誇る結城神社の至宝を展示します。
〒514-0821 三重県津市垂水3032番地18