扇は古くから、招涼(しょうりょう)の具や服飾の一部として用いられてきました。扇面には絵画や詩歌(しいか)がしたためられることも多く、どこでも楽しむことができる、身近な美術・文芸のツールとして平安時代以降、親しまれるようになります。本展では、東洲斎写楽(とうしゅうさいしゃらく)・谷文晁(たにぶんちょう)らをはじめ、近年調査の過程で新発見が相次いだ著名な絵師たちの扇面画の優品を中心に、文学作品や工芸品などのモチーフにも表現される扇の幅広い文化を紹介します。日本で育まれた多様な扇の美をお楽しみいただきます。