当館は、川喜田半泥子(1878~1963)が設立した「財団法人石水会館」を母体に、昭和50年(1975)に登録博物館としての活動を開始しました。以来、伊勢商人川喜田家の旧蔵品を中心に、地域に根差した展覧会を開催しています。令和7年(2025)には登録博物館として50年の節目を迎えます。
これを記念する本展では、川喜田家歴代コレクションから茶道具の名品を紹介するとともに、近年新たに収蔵された半泥子作の茶陶や書画を展示します。
三重縣護國神社は、明治2年(1869)、第11代津藩主・藤堂高猷(とうどうたかゆき)が小祠(しょうし)を建て、戊辰戦争(ぼしんせんそう)で戦死した藩士を祀り、「招魂社」と称したのが始まりです。三重縣護國神社には、近世前期の名刀や、幕末に現在の津市域で鍛造された刀剣が多数所蔵されています。
本展では、三重縣護國神社の宝物に加え、創建の契機となった戊辰戦争に注目し、新政府軍の一隊として津藩士を率いた藤堂高泰(ぼしんせんそう)(津城代家老)所用の武具等を紹介します。
江戸に大店を構えていた豪商・川喜田家の歴代当主は、津に住みながら江戸の文化をリアルタイムで享受しており、当館は現在、数千枚の浮世絵を所蔵しています。
本展では、最近の調査で発見された東洲斎写楽の浮世絵を中心に、川喜田家の江戸店からほど近い場所に店を構えていた書肆(しょし)「蔦屋重三郎」にスポットをあて、「蔦重」が手掛けた書物や浮世絵、また日本橋界隈の町衆と川喜田家の交流を、所蔵品から紹介します。
NIGO®(にごー)氏(1970~)は、自身のブランド「HUMAN MADE」を手がける傍ら、仏ブランド「KENZO」のアーティスティック・ディレクターを務めるなど、日本を代表するファッション・デザイナーです。
NIGO®氏は茶の湯文化を通して半泥子の作品と出会い、廣永窯(仙鶴窯)での作陶経験をきっかけに、近年は日本各地で茶碗づくりに没頭しています。
彼にとって作陶10年目の年となる2025年ー。同氏が蒐集した半泥子の作品55点と、NIGO®氏が制作した茶碗25作品を展示します。
江戸時代、伊勢商人と呼ばれた豪商たちは、伊勢国から江戸へ出て、繁栄を極めました。津が本拠の川喜田家は、寛永3年(1626)から大伝馬町に江戸店を構え、昭和初期まで「木綿太物(もめんふともの)」を扱ってきた木綿問屋で、令和8年(2026)に開業400年を迎えます。本展では、豪商の家伝文書として貴重な「川喜田家文書」に加え、文化人との交流を語る作品や、近年整理が完了した貨幣コレクション等をご紹介し、川喜田家の繫盛ぶりをお伝えします。
〒514-0821 三重県津市垂水3032番地18